株というものは、「お金を払って得る優待券」のようなものだとイメージしてください。そしてその優待券には「新しい会社を作って、経営頑張ります。応援してくれる人にはこの優待券を発行します。この優待券を持っていると、経営が上手く行って利益が出たら、優待券を持っている人全員に△△%利益還元します。さらに、いっぱい応援してくれる人には、毎年◆◆をお得に利用できる券もプレゼントしちゃいます」という約束がついています。この約束の内容と、約束を実現してくれる可能性などを鑑みて、投資家たちはお金を払って券を買います。つまり、券を買った時点で、売買は成立していることになります。「経営難で、やっぱり会社を倒産させることにしました」となっても、「約束が違うからお金を返せ」ということは出来ないのです。優待券に書いてあるのは、「経営頑張る」「利益が出たら還元する」ということだけです。「経営失敗したら、優待券分のお金を返します」という約束はされていないのです。
この「株」という名の優待券は、経営破たんされてしまってはただの紙切れに変わってしまいますが、そうなる前だったら、「約束守ってくれなさそうな気がするから、優待券を返却するので、お金返して」と言うことはできます。
しかしこの優待券の価値というのは刻一刻と変わっていくのです。
持っている優待券を、高値で買い取ってくれる人がいる時に売りに出して利益を得ること。そして持っている優待券の価値が下がってしまう前に、それなりの金額でもいいから買い取ってくれる人がいるうちに売りに出して損を回避すること。そして、これからもっと高値がつきそうな優待券を、安い値段のうちに買い取って持っておくこと。
この3点が株式投資の基本です。
株式投資におけるリスクとは、「持っている株がただの紙切れになること」と、「買った時より価値が下がったまま回復しないこと」です。そしてリターンとは、「買った時より価値が上がること」と、「株を発行している会社が利益を上げて、利益を分けてくれること」です。このようにタイミングの見極めが非常に重要なポイントとなってきます。
リスク回避をするには、およそ倒産しないだろうと思われる会社の株を買うこと、株の価値が安定している会社の株を買うことです。いわゆる「優良株」と言われている株を買えば、当然リスクは軽減されますが、リターンもあまり大きくはないでしょう。なぜなら優良株はすでにかなり高い価値がつけられていて、たくさん買うには資金が必要になってきます。
誰もが知っている大手&老舗企業の「優良株」を買って、値が上がったら売るということは一切考えず、配当金やその他の優待サービスを受けることで、十分なリターンだとする投資スタイルも、一つの方法です。もちろん優良株といっても、多少の値動きはありますので、優良株の場合は、少しでも安くなっている時に買って、出来るだけ長期間保有しておいて、もし万が一暴落するような兆しが見えたら、価値が下がってしまう前に売るように気を付ける必要はあります。
個人でやっている投資家が売買可能な株は、店頭公開している会社の株か、上場している会社の株のどちらかです。
よく「上場企業」という言葉を耳にするかと思いますが、これは証券取引所で株の売買が可能としている企業のことを言います。これはつまり自社で株の売買を取り扱わず、証券取引所に任せているということです。それだけ株の売り買いが盛んな、有名な会社と見て、経済的信用が厚いと判断して良い会社でしょう。
そして、店頭公開会社とは「上場していない会社」ということですが、証券会社の窓口などに赴けば買うことができます。
株主(株を保有している人全員)には、配当金をもらう権利、優待サービスを受ける権利という二つの権利に加えて、株主総会に参加する権利も与えられています。一番初めにも述べましたが、株という「優待券」には「利益を出せるよう経営頑張ります」という約束が含まれています。しかしどう見ても頑張っているようには見えない、そんなやり方では利益が出るはずないと思えば、「約束を守ろうとしているのか?」と文句を言う権利があるのです。その言葉を受けて、実際に経営をどうするかは企業の判断ですが、とりあえず意見を伝えることは許されています。
また、その企業の株の過半数を買い占め、企業を乗っ取ったり、自分の意のままに経営させるようにすることも、広義の「株式投資」に入ります。